催し

微生物機能の戦略的活用による生産基盤拠点

京都大学21世紀COE

共催行事

第16回酵母合同シンポジウム 「いま、酵母研究に何が求められているか」

主催:酵母合同シンポジウム実行委員会

共催:酵母研究会、酵母遺伝学フォーラム、酵母細胞研究会、酵母ワークショップ、
   清酒酵母・麹研究会、日本イースト工業会、バイオインダストリー協会、
   21世紀COEプログラム「微生物機能の戦略的活用による生産基盤拠点」

日時:平成16年6月3日(木)〜4日(金)

会場:大阪市立大学 学術情報総合センター(大阪市住吉区杉本3-3-138)


<プログラム>

第1日 6月3日(木)

 開会  9:50  

セッション1 普遍的な生命現象の解明へ (10:00-11:30)
 白髭克彦(東京工大)     DNA複製チェックポイント − ゲノム学からのアプローチ
 松浦 彰(長寿医療センター) 酵母で探る染色体末端複製の普遍的制御メカニズム
 石井浩二郎(久留米大)    酵母を用いた染色体機能ドメイン構築の機構解剖

  昼食 11:30-13:00

特別講演  (13:00-13:50)
 杉野明雄(阪大)       出芽酵母の染色体 DNA 複製開始機構と その細胞周期による制御

セッション2  応用へのアプローチ  (13:50-15:50)
 臼井健郎、長田裕之(理研)  創薬ターゲットの開拓を目指したケミカルバイオロジー研究
 家藤治幸(酒類総研)     醸造環境下で働く新規発現ベクターの構築
 中沢伸重(秋田県立大)    醸造酵母の分子育種技術の構築
 福田 潔(黄桜酒造)     酢酸イソアミル分解性エステラーゼに着目した香気成分高生産性清酒酵母の分子育種

  コーヒーブレイク 15:50-16:10

パネルディスカッション いま、酵母研究は何を目指すべきか  16:10-18:00
 大嶋泰治 (パネリスト:大阪大学名誉教授)
 大隅良典 (パネリスト:基礎生物学研究所)
 下飯 仁 (パネリスト:酒類総合研究所)
 中野明彦 (パネリスト:理化学研究所)
 山本正幸 (パネリスト:東京大学大学院)
 下田 親        (司会・コーディネーター:大阪市立大学大学院)

第2日  6月4日(金)

セッション3  酵母利用の可能性を広げる新技術   9:30-11:30
 杉山峰崇、金子嘉信、原島 俊(阪大) 出芽酵母ゲノムの大規模改変技術の開発と応用
 河井重幸、村田幸作(京大)      酵母は如何にしてDNAを取り込むか?
 地神芳文(産業技術総合研)      酵母細胞壁合成系の機能解析とその利用
 清水 浩、塩谷捨明(阪大)      バイオインフォマティクスデータを統合する酵母の代謝情報工学

  昼食 11:30-13:00

ッション4  実用酵母のゲノムから見えてきたこと  13:00-14:30
 中尾嘉宏、芦刈俊彦(サントリー)   醸造酵母の分子育種技術の構築
 下飯 仁(酒類総合研)        清酒酵母に特徴的な遺伝子の解析
 知花博治(千葉大)          病原性 Candida 酵母におけるゲノム解析 ーゲノム創薬をめざしてー

  コーヒーブレイク 14:30-14:50

セッション5  酵母の持つ新しい機能の探求  14:50ー16:50
 高木博史(福井県立大)        アミノ酸アナログを用いた酵母のストレス耐性機構の解析と応用
 三宅剛史(岡山県工業技術センター)  出芽酵母の硫黄代謝とグルタチオン
 岩井裕子(京大)           出芽酵母の鉄代謝とその制御機構
 阪井康能(京大)           オルガネラ分解における新しい膜動態制御機構: メチロトロフ酵母のペキソファジー
  
  閉会 17:00

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開催報告:

 「いま、酵母研究に何が求められているか」をメインテーマに、特別講演1題、5つのセッション(あわせて18題)、パネルディスカッションを行った。19題の講演では我が国の酵母研究者による先端的な研究が紹介された。いずれもレベルの高い研究であり、聴衆に感銘を与えた。基礎研究から応用研究まで幅広いテーマで現状が総括され、これからの研究の方向性が議論された。ポストゲノムシークエンス時代に入った酵母研究が依然として真核生物のモデル系として有効であることが具体的な成果と共に示された。モデル生物としての酵母、有用微生物としての酵母の現代生命科学における位置づけについては、パネルディスカッションにおいても、議論された。
 本シンポジウムには予想を大きく上回る約300名の参加があり、とくに院生などの若手研究者の参加が目立った。学生は参加費を無料とする方針が有効であったと思われる。
 酵母という有用微生物の様々な機能が2日間にわたり、集中的に議論されたことにより、本21世紀COEプログラムにとっても有益な情報が提供されたものと考えている。