催し

微生物機能の戦略的活用による生産基盤拠点

京都大学21世紀COE

 
講演会・セミナー

 

植物の病害抵抗性におけるシャペロン分子

高橋 章 博士
The Sainsbury Laboratory (Dr. Ken Shirasu's Lab.),
John Innes Centre, UK

 

平成15年12月22日
農学部総合館 W424 講義室


連絡先:奥野哲郎(Tel: 6131)

 

開催報告

 RAR1遺伝子座はオオムギうどんこ病に対する抵抗性遺伝子の一つMla12の機能に必須の遺伝子として単離された。RAR1タンパク質と相互作用することが示されているSGT1タンパク質も多数の抵抗性遺伝子による抵抗性反応の誘導に必要であることが示されている。RAR1相互作用タンパク質のスクリーニングを行った結果、heat shock protein 90 (HSP90)が同定された。RAR1タンパク質はHSP90のATPaseドメインと特異的に結合し、HSP90のコシャペロンとして機能している可能性が示唆され、さらにSGT1タンパク質もHSP90と特異的に結合することが示された。さらにシロイヌナズナにおいて、HSP90遺伝子ファミリーのうち、HSP90.1の機能が欠損すると、Pseudomonas syringae (avrRpt2)に対する抵抗性が抑制されることが示された。このことから、HSP90もRAR1、SGT1と同様に抵抗性反応の誘導に必要であり、RAR1およびSGT1と相互作用することにより、抵抗性信号伝達に必要な因子の活性化に機能している可能性が示唆される。
 セミナーにおいては、病害抵抗性研究の最新情報が示され、耐病性作物創出にむけての多くのヒントが得られた。また、参加者も30人を上回り、質問、討議も活発なものであった。また、同日、モデル植物シロイヌナズナの解析技術について指導していただきました。